大学生向け海外研修プログラムで講演　～社会問題に立ち向かうこととは

小石川さんとの出会い

　こんにちは、CDLの鳴海です。先日、「kokokara Asia Tour」と称した大学生1.2回生向けの海外研修プログラムの中で、講演させていただきました。

　主催であるkokokara Groupの小石川さんと出会ったのは、遡ること2015年の9月でした。私はお節介な性格なので、たぶんその時は、カンボジアの「人材」についてのアドバイスや、小石川さんのビジネスに対して率直な感想をお話したような記憶があります。

　その後しばらく時が過ぎ、久しぶりにメッセージが届いたと思ったら、講演依頼でした（笑）小石川さんが元気そうで嬉しかったことと、私にお手伝いができることがあれば学生のために何かしてあげたいという思いで、講演を引き受けました。

「社会問題に立ち向かう」がテーマ

　研修は「社会問題に立ち向かう」がテーマで、プノンペンではカンボジアの歴史的、産業的、文化的な面で捉えたいということを伺っていましたので、私からは２つのテーマでお話をすることにしました。

　1つは、なぜ私が公務員を辞めてカンボジアで起業したのか。2つ目は、カンボジアの人材、労働市場の概況についてです。

　学生らにとって、私の姿が社会問題に立ち向かう者のように映っているのかどうかは定かではありませんが、私の現状に至るまでの経緯は彼らにとって関心が高いのではないかと思いました。そして、参加した学生には円座のような配置で座ってもらい、一方的な講演ではなく、互いにコミュニケーションが図れる近い距離感でお話をすることにしました。

どんな職業でも社会問題の解決はできる

　彼らに将来は何をしたいか質問したところ、起業したいという人が数名、公務員になりたい人はゼロ（笑）、残りはどこかの会社で働きたいという意見でした。社会問題の解決は、なにも起業でなければ成し得ないものでもありませんし、組織の中でこそ能力を発揮して成し得ることも可能ですから、将来何になろうがその事自体に問題はありません。そういう意味で、彼らは現実的であったし、冷静であるという印象を受けましたので、なんとなく個人的には嬉しかったです。

　私は22年間勤務し続けていた厚生労働省を辞めてカンボジアで起業したわけですが、公務員時代においても人材会社を起業した後においても、フィールドが違うだけで結局のところ、仕事を通じて社会問題を解決していたと言えば、そうなるのかなと思います。しかし、やらされ感満載の仕事で、かつ帰宅できないほど激務が続くなかでは、私の場合は公務を通じて社会問題の解決に挑む気持ちにはなれませんでした。

社会問題に立ち向かう前提にあるテーマ

　もしどこかで社会問題が解決されたのであれば、それにより苦しんでいた誰かが幸福になっているわけですが、そもそも社会問題を解決する前に、まずは自分の中にある問題を解決し自分が幸福になければ、社会問題（多くの場合は他人の問題）も解決する気になれないのが正直なところです。自分や大切な人を犠牲にしてまで、解決が必要な社会問題なんて無い、という話だと思います。少なくとも私はそう思っています。

　今でも、やっぱり悩みや心配事はゼロにはなってはいませんが、日本にいた頃と比べると、比較にならないほどカンボジアでの人生は幸福で、退職や移住に後悔の念はありません。恐らく、こうしたカンボジアでの幸福感があってこそ、私はコネクションが無くてもスキルや経験に見合った職業に就くことができる社会の実現に向けて、人材紹介業に邁進できているのだと思います。

　つまり、「社会問題に立ち向かう」前提には、「自分と自分の大事な人の幸福を守る」というテーマがあるのではないかと思います。小石川さんには今後も、東南アジアを訪れることによって日本人が忘れてしまった価値観や幸福の定義を再認識し、今後の人生の糧とする旅を提供し続けていってほしいと思います。また、素敵な出会いの機会を作って頂き、とても感謝しています。