カンボジアの学生達にTVでアドバイス
CDLの鳴海です。2014年10月10日、カンボジアのテレビ局(CTN)で放送されたインタビューの日本語訳です。
労働をテーマに、労働訓練省の方とともにテレビ局に呼ばれたのですが、労働訓練省の方がまさかのドタキャンで、図らずもメインコメンテーター的な立ち位置に座って話すことになってしまいました。もう一人の出演者は、大学を卒業し今年から商業省に入省した女性です。カンボジアの学生たちにとって少しでも参考になればと思い、私の主観で色々とお話をさせていただきました。
※TV局関係者から許可を頂きアップしております。
カンボジアの学生が欲しいのは卒業証書だけ
司会:人材会社が増えていますが、あなたは今までに人材会社を使ったことはありますか?
女性:今の仕事は大学を卒業して初めての仕事です。外国に留学し、外からカンボジアをいろいろと知る機会があったので、自分から応募しました。殆どの人は大学を卒業しても、労働市場が求める求人に合致しません。なぜなら、将来のことを真剣に考えずに、例えば友人がその大学を選択したから自分も選択するといった状況だからです。海外の学生は高校までいろいろと勉強し、大学前に社会体験もしていますが、カンボジアは違います。カンボジアの学生が欲しいのは卒業証書だけです。カンボジアでトレーニングフェアがあると良いですね。人材の質が向上すると思います。
大学を卒業すれば高い給料を得られると勘違いしてはいけない
司会:CDLは求人、求職、ともに増加したそうですが、両者のバランスはどうでしょうか?
鳴海:バランスはよくありません。外資企業が求める人材のクオリティーは高いですが、一方で求職者側ではそれを満たせるだけの人材は少ないのが現実です。そもそも企業というものは安い人件費で高い能力の人材が欲しいですし、人材側は高い給料や高いポジションが欲しい。しかし能力が伴っていないのです。まず社会にどのような求人があるか、どのような人材を求めているのか、社会のニーズを認知する必要はあります。また、それらを見据えて大学などで学ぶべき道を決めることが大事です。単に大学を卒業すれさえすれば、自動的に高い給料やポジションを得られると勘違いしている人が多いかもしれません。
仕事をするうえで大事なことは、いかにアウトプットできるか
司会:本当にクオリティーが高く、高いポジションで働くにふさわしい人材は全体に占める割合はどのくらいでしょうか?
鳴海:占める割合の詳細はわかりませんが、多くの外国人経営者は、高度人材は少ないと言っています。大学で勉強することは当然大事なことですが、それはあくまでインプットをしただけに過ぎません。しかし、仕事をするうえで大事なことは、いかにアウトプットできるかどうかです。大学を卒業したからと言ってアウトプットができなければ意味がないのです。アウトプットとは、端的に言えば、どれだけの売り上げやプロフィットを生み出せるのか、会社に価値を提供できるのか、という事です。会社にとって必要な人材とは、給料以上に会社に利益をもたらす人材です。希望給料を宣言するということは、その額の数倍の価値を会社に提供することを面接官に誓約するということを意味します。その位の気持ちが必要です。また、妥当な価値を会社に提供でなきなければ解雇されることも忘れてはいけません。
信ぴょう性の低い情報を基に動く。親も同様
司会:現在、高い賃金を目当てに外国へ出稼ぎする労働者が多いですが、そういったカンボジアの労働市場についてどう思いますか?労働訓練省の発表によればカンボジアには仕事が多いそうですが。
女性:労働訓練省やCDLの社長(鳴海)が言うように、カンボジアには仕事は多いと思いますが、募集要件に合わないのが問題だと思います。銀行関係の勉強をしたら、卒業後には銀行で高い給与がもらえると簡単に思っています。しかし、銀行が提示する募集要件は厳しい。実は、インターネットも使えない人たちも多いといったレベルです。
司会:大学生たちは、どのように大学の選考を決めているのですか?
女性:多くの学生は、友達と同じ行動をとろうとします。自分の適性を知らないまま、友人から聞いた情報など、信ぴょう性の低い情報を基に動きます。親も同様です。また本人としては今が楽であれば、それでよいのです。人生のゴールの選択を自分自身に問いかけず、周囲に判断を求めますので、大学の知識を習得できずにドロップアウトする学生もいます。誤った選択は大きな代償を払うことなどを説くキャリアガイダンスが必要だと思います。
今のカンボジアには基礎力と競争意識が必要
司会:カンボジアでは大学で金融や銀行の勉強がとても人気ですよね。しかし、大学を卒業しても金融機関で働けない人が多い。大学で勉強できる知識には限度がありますし、そもそも卒業生を吸収できるだけの求人数が金融業界にありません。あぶれてしまった銀行以外の知識は何もない人材が労働市場に滞留しています。CDLとしてアドバイスはありますか?
鳴海:大学で何を勉強し、どんなスキルを習得するか、または学んだ知識が労働市場の受給バランスの中でミスマッチをおこしていないかどうか、それはそれで大事なことですが、社会人としての基礎力があれば、大学で学んだ知識とは違う仕事に就いたとしても、どうにかなるものです。私が考える基礎力とは3つあり、考える力、行動する力、チームワークですが、そのような基礎的な能力が高い人材であれば、労働市場に滞留することはないでしょう。また、競争意識も大事だと思います。世界中で国と国は競争しているし、会社と会社も競争しています。人と人も競争しているのです。競争には勝者と敗者を生みますが、競争に参加することに意義があると思っています。たとえ負けても競争することにより自己成長ができます。一番成長できない人は競争に参加しない人です。このような意識をもって行動すれば、状況は改善されると思います。
司会:最後に何かアドバイスをください。
鳴海:自分の目標や夢を持ってほしいです。5年先、10年先に何をしたいかを考え、そのゴールに向かって行動する人が、結果として自分の欲しいものを得られるということ。それから、高い給料が欲しいと思うなら、欲しいと思う給料の何倍もの価値を会社に提供する自信と覚悟で臨むべきです。
CDL代表
北海道札幌市生まれ。22年間、厚生労働省などで勤務。2012年、カンボジア人青年との偶然の出会いから、能力・スキルに見合った仕事につけない人がいることを知り、カンボジア人に職業を紹介するビジネスを決意。
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