カンボジアの日本語人材の給与相場
CDLの鳴海です。企業様から人材の件で、採用方法や人材育成、給与相場や評価制度など、いろいろなご相談をお受けします。特に日本語人材の初任給の相場についてのお問い合わせは以前から多いです。
言うまでもなく、給与は労働市場の需要と供給のバランス(相場)、スキル・能力、会社へバリューなどによって決定されるわけですが、弊社の調べでは、同程度の日本語能力を持つ人材の給与を近隣諸国と比較すると、その国の物価水準から勘案してカンボジアが一番高いことがわかっており、つまりは、カンボジアにおける日本語人材の給与の高騰は、歪な需給バランスによって主に引き起こされている現象だと言えるのです。
CDLの求職者の登録情報を調べたところ、日本語人材の平均の最終月給は、日常会話で339.0ドル、ビジネス会話レベルで555.9ドルでした。一方で、希望月給は341.1ドル、568.2ドルでしたので、雑誌「カンボジア・ビジネス・パートナーズ」で私が語った、「彼らは希望給与額を現職給与額より下に設定することはない。」を裏付ける結果となっております。こちらを参照。
また、この調査で、最終月給額が対前年比で30%近くも増加していることがわかり、異常ともいえる状況です。
経営側にとって、仮に給与カルテルを講じたとしても、こうしたトレンドに対して容易に抗えるものではありませんが(訴訟リスクがあるので、そもそもやりませんが)、対応の第一歩として、少なくとも必要なことは、労働市場の需要と供給のバランス(相場)を具体的な金額で認識することが大事だと思っています。
むろん、私たちのような豊富な求職者の詳細データを所有し分析できる人材紹介会社でなければ、正確な相場を掴むことは容易ではありませんので、この度、さまざまな方からのご要請もございまして、上記のとおり一部情報を公開しました。
今後は、CDLでは定期的に給与実態調査の結果をリリースしていきたいと思っております。
なお、上記の日常会話やビジネス会話というレベル設定は、相対的評価による弊社独自の基準であり、日本語能力検定の基準(N3は日常会話、N2はビジネス会話というような、ざっくりした評価方法)でないのは、日本語能力検定は筆記試験のため会話能力の測定には困難なためです。その点をご留意いただき、採用業務のご参考として頂けましたら幸いです。
CDL代表
北海道札幌市生まれ。22年間、厚生労働省などで勤務。2012年、カンボジア人青年との偶然の出会いから、能力・スキルに見合った仕事につけない人がいることを知り、カンボジア人に職業を紹介するビジネスを決意。
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